「清潔間欠自己導尿(CIC:Clean Intermittent Catheterization)」について、大阪で自己導尿を検討されている方に向けて、対象となる病気・方法・費用・注意点を日本泌尿器科学会認定 泌尿器科専門医の立場からわかりやすく解説します。
自己導尿とは、膀胱にたまった尿を自分でカテーテル(導尿管)を挿入して排出する方法です。
自然に排尿できない方や、残尿が多い方に対して行われる在宅での治療で、医師・看護師の指導のもとで練習を行い、清潔に続けることができます。
残尿が続くと尿路感染症・腎機能障害につながるため、自己導尿は症状の進行を防ぎ、生活の質を守る大切な治療です。
残尿があると腎臓に負担がかかる主な理由は、膀胱内圧の上昇と尿路感染症のリスク増加の2つです。
まず、残尿が多い状態が続くと膀胱の圧力が高まり、尿が逆流して腎臓にたまる「水腎症(すいじんしょう)」を起こすことがあります。これにより腎臓が圧迫され、長期的には腎機能が低下するおそれがあります。
また、膀胱内に尿が残ると細菌が繁殖しやすくなり、膀胱炎などの尿路感染症を引き起こします。感染が腎臓まで広がると「腎盂腎炎(じんうじんえん)」を発症し、腎臓の組織が傷ついて機能が低下することがあります。
このため、自己導尿によって残尿を定期的に排出することは、腎臓を守るうえで非常に重要です。
最近は感染予防の観点から、使い捨てタイプを選ばれる方が増えています。
医師の指導のもとで正しい手順を覚えれば、安心してご自宅で実施できます。
自己導尿は残尿をゼロにし、尿路感染症や将来的な腎機能障害を防ぐための非常に重要な治療法です。当院では、単にカテーテルの使い方を教えるだけでなく、患者様の生活スタイルや手の動き、原因となっている病気(神経因性膀胱など)の重症度を総合的に判断し、最適な導尿頻度とカテーテルの種類(特に衛生的で快適なディスポーザブルタイプ)をご提案します。
特に、カテーテルの挿入に慣れるまでの初期指導に重点を置き、十分な時間を確保してプライバシーに配慮した指導室で丁寧に進めます。ご自宅での清潔操作がしっかりと身につくまで、看護師と連携して万全のフォローアップ体制をとっていますので、初めての方でもご安心ください。
A. 原因となっている病気や治療経過によっては、中止できる場合もあります。自己判断でやめてしまわず、定期的に泌尿器科で評価を受けることが大切です。
A. 最初は違和感を覚える方が多いですが、正しい方法を身につけることで、強い痛みを感じることはほとんどありません。必要に応じて潤滑ゼリーを使用することで、よりスムーズに行うことができます。
A. 一番大切なのは、導尿のたびにしっかり手を洗い、清潔な手順で行うことです。発熱、悪寒、血尿、排尿時の強い痛みなどがある場合は、早めに受診してください。
A. 在宅自己導尿は健康保険の適用対象です。自己負担割合(1割負担・3割負担など)やカテーテルの種類によって費用が変わります。
■ 費用の目安(2025年10月時点)
【1割負担の方】
【3割負担の方】
これらの金額には、診察料、導尿指導管理料、エコー検査、処方箋料、カテーテル代などが含まれます。
原因となる病気や必要な検査内容によって前後しますので、あくまで目安としてお考えください。

